故障や破損に対するトラブル対応と動産保険

君たちが保有しているMacBookは自分自身の個人資産であり,そのトラブルへの対応はまず,自力で解消努力が基本である.多くの場合は,自分で対処出来る程度のトラブルである事が多いので,「トラブルバスター」の記載を参考にして対応してみよう.

CSEヘルプデスク

自力で努力してみたがトラブルが解消しないとか,やり方が良く分からないなどの場合は,8号館丸善店舗内の CSEヘルプデスク へMacBookを持ち込んで相談しよう.トラブル原因がハードウェア故障である可能性などをチェックしてくれるだろう.

指定パソコン修理窓口

各自のMacBookが故障して動作しない,或いは,落下などで破損したなどの機械的トラブルが発生した場合は,そのMacBookを購入した販売店へ修理依頼しよう.殆どの者は,コンピュータ理工学部指定パソコンを本学丸善売店から購入しているはずなので,その場合は8号館丸善店舗内の修理受付窓口に持ち込むこと.CSEヘルプデスクでハードウェア修理が必要と判断された場合も,そのまま窓口に引き継いでくれるはずである.修理に持ち込む際には,稀に本体ではなくACアダプタやLANケーブルの破損が故障原因であることがあるので,いつも授業で使っているパソコン・付属品一式を合わせて持ち込んだほうが良い.

動産保険について

丸善が取り扱うコンピュータ理工学部指定パソコン(以下,指定パソコンと略記)はMacBookと合わせてウイルス対策ソフトと「動産保険」がセット販売されている.そのため,丸善より指定パソコンを購入していれば,この動産保険により故障や破損に対して少しの自己負担で修理してもらうことが出来る.

また,購入一年目はメーカーの製品保証がついているので,正しい使い方をしていたにも関わらず故障が起きた場合にはメーカーの責任で無償修理してくれる.

基本的な考え方

ここで動産保険の仕組みを良く知らない者のために解説しておこう.一般に動産保険とは,ある物件(例えばパソコン)に事故や盗難などで損害が発生した際に,この損害を回復するための費用,例えば修理や再購入に要する費用を補償(カバー)してくれる仕組みである.もちろん,この補填額は上限額が定められていて,その金額の範囲内で補償される.また,免責金といって,一件の事故に対して加入者(君たち)が負担しなければならない費用も支払わねばならない.但し,この免責金は指定パソコンの場合,事故一件当り5000円程度なので,それほど大きな金額ではないと思う.

現在のコンピュータ理工学部指定パソコンの場合,概ね,以下のようなシステムになっている.まず,購入時点で動産保険契約が成立して「補償上限金額」が設定される.

この金額設定は契約年度(指定パソコン購入年度)によって異なるが,盗難や全損など極めて大きな損害に対しても十分カバーされる金額となっている.この上限金額は購入後毎年少しずつ減ることになっており,購入1年目では100%だが,2年目75%程度,3,4年目は50%程度に減額される.

保険適用の具体例

では,実際に故障,破損,盗難などの事故が起きた場合に受けられる保険保障について説明しよう.簡単に言えば,その年に設定されている「補償上限金額」の範囲内で修理費用などが支払われる.例えば,A君の契約している動産保険の今年の補償上限金額が10万円であるとしよう.A君が誤ってMacBookを落としてしまって液晶画面が割れて,修理に8万円掛かったとする.この場合,保険会社はA君に成り代わってMacBookの修理業者に修理代金8万円を支払い,また,A君は免責金5000円を支払った上で修理されたMacBookを受け取る事が出来る.

ここで,「補償上限金額」とは「一年間に発生した補償金額の総額」であることに注意しよう.つまり,修理が一年間に何回か発生して,それらの補償総額が上限に達すれば,それを超える金額は無補償,つまり,自己負担となってしまう.例えば,少しそそっかしいA君が修理されたばかりMacBookをまたまた落として液晶交換となり,修理代金8万円が必要となったとする.すると,今回と前回の修理と合わせると修理に必要な費用総額が補償上限額10万円を超えてしまう.この場合,上限額を超える分(8 + 8 - 10 = 6万円)はA君の自己負担となってしまう.もちろん,免責金額分の支払いも合わせて必要である.

この例のように,動産保険でカバーされる破損・故障に対する補償は無制限ではないのだから,パソコンの取り扱いは無用な修理が発生しないように心がける事が何より大事である.基本的には「万が一に対する備え」に過ぎないと思って欲しい.

動産保険に対する心構え

尚,補償上限金額は毎年下がってしまうので,補償上限が最低となる4年目に大きな修理を受けた場合に自己負担の不安があるかもしれない.ノートパソコンの場合,修理代金が最も高額となるのは「液晶画面破損」と「水濡れ」に対するものであり,新品購入に近い修理代金が必要となる.幸いなことに,指定パソコンの場合,4年目でも事故の際に「液晶画面破損」などの最も高額な修理代金となった場合でも,自己負担が殆ど発生しない程度の契約条件設定がされるよう丸善に努力してもらっているから,さほど心配しなくても良いだろう.

但し,だからといって手荒く扱って壊しても直してもらえば良いと考えてもらっては困る.指定パソコンへの動産保険契約は年度毎に保険会社が契約条件を見直しており,皆さんの多くが修理代金の補償を受けるような事態になると,その後の保険料が値上げされたり,最悪,保険契約を拒否される可能性があり,そうなると今後入学してくる後輩諸氏が迷惑を受ける.各自のMacBookは出来るだけ壊さないように大事に使う事が,結果的に自分自身を含めたコンピュータ理工学部学生全員のためになる.

また,ノートパソコンはそれほど頑丈ではない.特に液晶画面はガラス製なので強い力が加わると簡単に割れる.例えば,実際に起きたものとして,荷物が詰まったカバンに無理やり押し込んだ,満員電車でカバンが人の間に強く挟まった,シャープペンシルをキーボードに置いた状態でウッカリ閉じたといった事例がある.気をつけよう.

尚,破損の程度によっては修理代金が新品購入費用を上回る場合があり得る.この場合,「全損扱い」となり新品への交換と同時に保険契約も打ち切りになってしまう.その場合,その後の事故修理は全て自己負担となってしまう.また,パソコンに対する動産保険は,市中のパソコン販売店で動産保険の取り扱いが皆無である事からも分かるように,基本的には大学新入生に対して特別に設定される保険商品であり,契約可能な時期が極めて限定されていて,しかも指定パソコンとのセット販売でしか契約できない特殊な保険であるので,後から契約し直すことは不可能である.これも知っておこう.

動産保険が効かない危険性

故意や重過失

動産保険では,保険会社の判断により保険適用(補償)を拒否する事が出来る事になっている.それは,故意や重過失による損害の場合などある.例えば,少し汚れたので綺麗な部品に変えてもらおうと思ってわざと壊したといった場合が故意に該当する.「重過失」とは「うっかりしているにも程がある」という場合だが,この具体例を挙げることは難しい.個別の案件が重過失に該当するかどうかは「保険会社が判断する」のである.故意は論外としても重過失と判断されてしまうとせっかくの保険が役に立たない事になるので,その意味でも指定パソコンの取り扱いには十分な注意をして欲しい.

重過失判定の危険性がある事故として,「水濡れ」事故がある.動産保険の契約条項には水濡れは補償することになっているが,この水濡れとは「急に夕立が降ってきてどうしようも無かった」といった本人には避けがたい事態が想定されている.その場合でも「インナーバッグなどに入れて保護をしていたが,それでも駄目だった」といった,本人が出来るだけ事故を避けようと努めておく必要がある.これに対して,パソコンの横にペットボトルを置いていて,誤ってジュースをキーボードにこぼして壊れたなど場合は,ちょっと注意しておけば簡単に避けられるため「重過失」と判断される危険性が高くなる.

過去,実際にあった事例としては,一ヶ月程度の間に水濡れ事故(それも雨が原因ではない事故)を2回も起こして,保険会社に重過失扱いされるかどうかで相当もめたという事例がある.インナーバッグに入れておく,キーボード保護カバーを使用する,飲み物はパソコンのすぐ横に置かないなどの日頃の事故を避ける心がけが重要である.

注意! 電車や教室に置き忘れた結果,「紛失して出てこなかった」場合には,基本的に「重過失」扱いとなり保険適用は受けられません.気をつけましょう.なお,強盗や空き巣など「盗難被害」を受けた場合は保険適用の対象となりますが,警察への被害届の提出と提出証明が必要です.

正直が何より大事

事故が起きてしまった場合には,受付担当者(丸善)には正直に状況と原因を説明すること.重過失と思われたら困ると思ってウソを言うと「虚偽申告」となって,これも適用拒否の対象となり得る.ノートパソコンを修理する場合,部品を全てバラバラにして点検するから,故障原因となった状況にウソをついたり黙っていたりしても,部品の破損状況でほぼ完全にバレてしまうので誤魔化す事は出来ない.虚偽申告と判断された場合,「保険金詐欺未遂」という立派な犯罪が成立するから補償が受けられないばかりか保険契約そのものの破棄打ち切り,或いは,「警察への告発」といった最悪の可能性もある.

とにかく,正直に破損や故障が起きた状況を説明しよう.或いは,原因が思い当たらなくても「満員電車で押し合いになっていた」など故障原因になりそうな状況についても,思いつく限り正直に説明しよう.「何もしてないのに,いつの間にか壊れていた.(つまり,自分には責任が無いと言いたいのか?)」という説明は最悪である.それをそのまま保険会社に連絡されると,「MacBookを金庫に入れて誰も触らないようにしておいたら(つまり,誰も何も絶対にしていない状態にしていた),MacBook自体が自動的に壊れた」と申告している事になる.誰がそのような説明を信用してくれるだろうか? 物が破損するには必ず原因があるはずである.このような説明をすると保険会社に「都合の悪い何かを隠している」と判断されて保険適用を拒否される可能性が極めて高くなる.

通常の破損事故なら正直に状況を説明できれば「重過失」や「虚偽申告」とされる可能性は殆どない.また,普通に正しい使い方をしていても時々起きてしまう自然発生故障の場合には,当然,原因となる心当たりがない訳だが,これも正直に使用状況を詳しく正直に説明しよう.修理時の点検でパソコン部品の故障が確認される筈だから,これも全く問題ない.

皆は正直者は得をするという諺を知っているだろうか?

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