アプリケーション利用時のトラブル

アプリケーションが何か正常に動作してくれない時,何かメッセージが表示されてないだろうか? その場合,Googleサーチエンジンの検索キーワードに,そのメッセージを一字一句そのまま与えて検索してみると,同じような症状にぶつかった人の体験談が見つかる事が多い.

また,下手に挑戦し過ぎると,さらに別のトラブルを招いて泥沼に陥る事もある.程々のところでCSEヘルプデスクなどへ助けを求めた方が良いが,その場合には,「何をどうしてどうした」という細かい作業内容が無いと上級者でも手も足も出ないことがある.

そのため,自力でトラブル対応する時には,「どのような作業をどんな順番で試みたのか」が後で分かるように,ファイル名やフォルダ位置などをなるべく正確に記録しながら行う事を強く勧める.

トラブル対応の基本戦略

アプリケーション(ソフトウェア)が正常に動作しない,以下の手順で試してみて正常になるかどうかチェックする事が多い.但し,ハードウェアの故障(ネットワーク,メモリ,ディスクなど)が原因でソフトウェアが正常に動作しないように見える事もあるから注意が必要である.

アプリケーション設定ファイル

Mac OS Xのアプリケーションが動作する時,プレファレンス(Preference)と呼ばれる設定ファイル(plist形式ファイル)がシステムのどこかに保存され,アプリケーションの動作を制御している.このプレファレンスファイルが何らかの理由で壊れてしまって,アプリケーションが異常動作する場合がある.

その場合,その設定ファイルを一時的に別のフォルダ(例えばホームフォルダやそのサブフォルダなど)に退避させるか,或いは,設定ファイルを削除してからアプリケーションを起動すると,挙動が初期状態へ戻る事が多い.

以下では,ホームフォルダ(ホームディレクトリ)を˜記号で表す.

˜/ライブラリ/Preferences

一般的には,このフォルダに拡張子が.plistになっているファイルが多数存在する.ファイル名はインターネットのドメイン名を逆順にした形式になっている場合が多いので,不具合を起こしているアプリケーションと関連しているファイルは比較的簡単に見つかるだろう.一般的には,Carbonアプリ,及び,Cocoaアプリと呼ばれるタイプのMac OS X向けアプリケーションがこのフォルダに設定ファイルを生成する.

該当アプリケーションの設定ファイルを探し,一時退避・削除してからアプリケーションを起動してみる.アプリケーションが起動するとデフォルト(標準)設定が記録されたplist形式ファイルが直ぐに生成されているはずである.

また,場合によっては,このフォルダ内にある ByHost フォルダに設定ファイルが配置される事もあるので,こちらも確認する必要がある.

˜/ライブラリ/Application Support

アプリケーション固有のデータやプラグインなどは,一般的にこのフォルダ中にサブフォルダが作成されて配置される.多くの場合,アプリケーション名と同じ名前のフォルダ(例えばFirefoxブラウザではFirefoxというフォルダが出来る)になっている.

設定ファイルを削除して試す場合,こちらのフォルダ内もチェックして,同様にアプリケーションに関連したフォルダを削除して試す価値はある.

˜(ホームディレクトリ)

元々,UNIX向けに開発されたソフトウェアでは,伝統的にホームディレクトリ直下にピリオド(.)で始まる名前のファイルやディレクトリを作成して,そこにアプリケーション設定を記録する場合が多い.

ピリオドで始まる名前のファイルはFinder上では不可視(表示されない)なので,ターミナルを開いて以下のコマンドを実行するとファイルの存在が確認出来る.

ls -a

尚,これらのUNIX設定ファイルを削除するとシステムが正常に利用できなくなる場合もある.トラブル解決を狙って試す場合には,いきなり削除せず一時的に他の名前に変更してから試すなど,元のファイルを残して必要があれば直ぐに元へ戻せるようにしながら試すのが賢いだろう.

ちょっと注意が必要な設定ファイル

Mac OS XのCarbonアプリにおける文字コードに関する挙動を決定する重要なファイルとして ˜/.CFTextEncoding というファイルがホームディレクトリに置かれている.このファイルを削除したり内容を書き換えたりすると,幾つかのアプリケーションでの文字コードがおかしくなるので要注意である.具体的にはメニューが文字化けなどする.そのようなアプリケーションの代表がCarbon Emacsである.

ちなみに,Mac OS X Leopardの場合,このファイルの中身は "1:14" という4文字だが,これはシステムで用いる文字コードが"UTF-8の日本語"という事を表しているようだ.非常に稀にこのファイルが何故か壊れていたり変更されていたりする事があるので,Carbon Emacsの文字コードがおかしい場合,このファイルの中身をチェックしてみると良いだろう.

システムのフルリストア

何をどうやっても復旧しない場合,システムを購入時の初期状態へ戻してしまうという荒療治になる.

まずバックアップ

フルリストアすると,MacBookの内蔵ディスクの中身が全て消去されるので,自分の作成した大事なファイル(課題プログラムのソースコードやレポート原稿,実験データなど)をUSBメモリなど外部記憶メディアに複製して保存しておく必要がある.これを「バックアップ」という.

一般的には,ホームフォルダ配下に作成したファイルが全て保存されているはずだから,ホームフォルダを丸ごとバックアップしておいて,リストアが終わった後,必要なファイルをバックアップメディアから戻すのが簡単で良いだろう.

フルリストア

システムのフルリストアは,フルリカバリー,或いは,OSの再インストールとも呼ばれる.

Macを購入した時のパッケージ箱にMac OS XのインストールDVDが添付されている.これをMacにセットした上で再起動し,画面が暗くなって再起動したら即座にCキーを押すと,インストールDVDから起動する.あとは画面の指示に従えば,Mac OS Xをインストールし直して初期状態へ戻す事が出来る.

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