統合オフィスソフトウェアLibreOfficeを用いた文書作成

LibreOfficeはオープンソース統合オフィスソフトウェアOpenOffice.orgを源流として枝分かれ(Fork)したソフトウエアである.開発・改良の進展が非常に早いプロジェクトとして知られている.

平成24年度まではLibreOfficeというMac OS X向け専用派生ソフトウエアを使用していたが,ソフトウエアの入手が有償になってしまったので平成25年度よりLibreOfficeに切り替えた.

統合オフィスソフトウェアとしてはMicrosoft社のMS-Officeが著名だが,それに対してLibreOffice(及び,OpenOffice.org)は次のような特徴を有している.

cse環境で利用するLibreOfficeでは,次のような文書作成ソフトウェアが使える.

ここでは,Writerを用いて各種の報告書やレポートを作成する実習を行う.

ちなみに,正直言えば,LibreOfficeの「日本語」文書作成機能は,「非常に流暢な日本語を話す『アメリカ人』」という感じであり,細かいところを見ると日本語・日本文化特有の処理については,イマイチ感は拭えない.

LibreOfficeの起動と基本入力操作

MacOS Xにおいてインストール済みのLibreOfficeを起動するには,Finderウィンドウを一枚開き,「アプリケーション」フォルダからLibreOffice.appアイコンをダブルクリックして起動する.起動すると次のようなウィンドウが開く.

LibreOfficeでは幾つかの文書作成ツールが使えるので,その何れを使用するのか選択する.ここでは「文書ドキュメント」を選択しよう.

ここで,いわゆるワープロ文書が作成できる状態となる.ウィンドウ上部には「ツールパレット」が並んでおり,その各アイコン(絵文字)をクリックする事で様々な機能を呼び出す.

文字入力

文書に文字を入力するには,MacOS Xの一般的ソフトウェアと同様の操作を行う.入力したい位置をクリックしてカーソルを出してから文字をタイプ入力すれば良い.(カーソルとは,「現在の文字入力位置」を示す表示のこと.縦棒 | や四角■といった表示が点灯・点滅することで利用者に気づかせることが多い.)

コピー&ペースト

入力した文字列をコピーして他の場所に入力する操作(コピー&ペースト),或いは,適当に切り取って(カット)他の位置に移動させる操作(カット&ペースト)操作も,MacOS Xの標準的操作で行える.

まず,マウス(トラックパッド)でドラッグして選択しておき,「編集」メニューから「コピー」を選び,続いて移動させたい位置をクリックした後に「貼り付け」を選択する.これにより選択しておいた部分を複製して貼り付ける事が出来る.この操作をコピー&ペーストとよぶ.また,「コピー」の代わりに「切り取り」を選べば,コピーする代わりに「カット」して複製することができる.この操作をカット&ペーストと呼ぶ.

また,メニュー操作が面倒だと感じる場合,「コピー」をメニュー選択する代わりにCommand-cをタイプし,「貼り付け」をメニュー選択する代わりにCommand-vをタイプしても全く同様の操作を行える.このようにメニュー操作の代わりにキーボード入力で済ませることを「キーボード・ショートカット」と呼ぶ.どのようなキーボード・ショートカットが利用できるかは,各メニューに表示されているので,各自,メニューを確認してみよう.

アンドゥ操作

文書編集操作を行っていると,操作を間違えることが良くある.直前に行った操作を取り消して元の状態へ戻すことをアンドゥ(Undo)操作とよぶ.アンドゥするには,「編集」メニューから「元に戻す」項目を選択(或いは,キーボード・ショートカット Command-zをタイプ)する.

各種スタイル設定

文書の見栄えに関わる設定を「スタイル」と呼ぶ.美しい書類を作成するには,文字デザイン(書体)など様々な個所でスタイルを調整して,文書の見栄えを調整してゆくことが欠かせない.

書体設定

入力された文字は文字デザインやサイズを変更することができる.これを書体設定(フォント設定,文字スタイル)と呼ぶ.書体を変更するには,文書ウィンドウ上部に表示されているスタイルパレットを用いる.

文字スタイルを変更するには,変更したい部分をドラッグして選択した後,文字スタイルパレットから適当なフォント(文字デザイン)や大きさを選択する.文字サイズは「ポイント (1/72 inch)」と呼ばれる単位で表され,多くの場合,10から12ポイント程度が標準的なフォントサイズである.

さらに,太字や斜体,下線といった文字飾りを施すには,同様に文字サイズメニューの右隣のアイコンをクリックする.その他の文字飾りとしては,影付き,袋文字,上付き,下付きといったものがある.

練習

以下のような文字を入力して,文字種やスタイルを様々に変更してみよう.また,特に「京都産業大学」の部分を「ヒラギノ明朝 ProN W3書体・48ポイント・アンダーライン付」に変更してみよ.

Kyoto Sangyo University, Faculty of Computer Science and Engineering
京都産業大学コンピュータ理工学部

ここで使っているヒラギノ書体とはMacOS Xに標準添付されている日本語書体であり,極めて美しく品質の高いフォントとして知られている.レポートなど他の人に提出する日本語書類を作成する時には,このヒラギノ書体を用いる事をお勧めしておく.

どうでも良いネタ: ヒラギノとは,産業大学近隣の地名である「柊野」を指す.また,ヒラギノフォントの開発元・字游工房によるヒラギノファミリーフォントには,Oike, Keage, Daigoなどがある.

さらにどうでも良いネタ:Mac OS X Mountain Lion搭載のヒラギノフォントには各フォント毎にProとProNという2種類がある.この違いはWikipedia上の記載に詳しいが,Proシリーズはそのグリフ(字形)が JIS X 0213:2000 規格に基づいており,後にこれを改訂した JIS X 0213:2004 に基づくのがProNシリーズとなる.一般論としてはProNシリーズを用いていれば十分な筈だ.
では何故このように紛らわしい殆ど同じと思える2種類が搭載されているのかといえば,恐らくはProシリーズを無くしてしまうと過去に作成したProシリーズをフォント指定した文書が正常に表示されない可能性やProシリーズを用いているソフトウエアの画面表示が崩れてしまう可能性などを考えたためであろう.

尚,書類中のいわゆる「本文」にはMincho(明朝体),「見出し」部分にはGothic(ゴシック体)を使うのが一般的である.

文書レイアウト

一般に書籍やレポート(報告書)などの印刷物において,見栄えを大きく左右するのが文書レイアウトである.文書レイアウトの基本的な考え方をまとめると次のようになる.

一枚のページには見やすさのため余白が取られる.その上下左右の余白を「マージン (Margin)」と呼ぶ.ページからマージンを除いた部分(印刷領域,または,印字領域)に文字や図が印刷されることになる.

印刷領域には,幾つかの段落(パラグラフ, Paragraph)が並べて配置される.各段落は,先頭を若干内側に寄せて始めるとされており,これを行頭インデントと呼ぶ.行頭インデントする幅は,英文では特に決まっていないが,日本語の場合,行頭インデントは漢字1文字分とするのが一般的である.

また,段落中の2行目以降の印字位置は印刷領域の端に来るのが一般的だが,見やすさなどを考慮した見栄えを調整する目的で,印字位置よりも内側に寄せる事がある.この字下げを「左インデント」或いは単に「インデント」と呼ぶ.さらに,各行は印刷領域の右端まで印字されるのが通常だが,これもレイアウトの都合上,内側に寄せられることがある.これを「右インデント」などと呼ぶ.

用紙スタイル設定

文書が印刷される用紙の大きさなどを指定することを「用紙スタイル設定」と呼ぶ.これには,用紙サイズ(A4やB5など)や余白の大きさの調整などが含まれる.用紙サイズを後から変更するとレイアウトが根本的に変わるために見栄えやページ数が大きく変わってしまう.用紙スタイルは文書の作成を始める最初の段階で調整しておくのが良い.用紙スタイルを設定するには,「書式」メニューから「ページ」を選択して表示されるダイアログにおいて「ページ」タブをクリックして,そこで用紙サイズなどを設定する.設定が終わったら「OK」ボタンをクリックする.

練習

用紙サイズを「A4版」,上下左右の余白マージンをそれぞれ「3cm」にセットしてみよ.

段落書式設定

ワープロ文書は,基本的には,文字の並びから構成される文章を読みやすく配置して印刷することを目的として作成する.入力された文字の揃え位置(配置)は,標準では「左揃え」であり,段落毎に個別に指定される.書式や文字寄せを変更するには,変更したい部分をマウスで選択しておき,文字書体の場合と同様にスタイルパレットをクリックして変更する.また,入力された文字の開始位置の字下げ(インデント)はパラグラフ(段落)毎に個別に調整される.

練習

すでに練習として以下の文を入力済みだろう.これらの文の揃え位置を,それぞれ「左揃え」「中央揃え」「右揃え」に変更してみて見栄えがどのように変化するか確認せよ.

Kyoto Sangyo University, Faculty of Computer Science and Engineering
京都産業大学コンピュータ理工学部

ここで,LibreOfficeで美しい日本語文書を作成するうえで重要なポイント(コツ)を知っておこう.LibreOfficeの文字揃えの標準は「左揃え」であるが,これで日本語文書を作成すると,各段落の右端がでこぼこした状態になり,かなり見苦しい文書になる.従って,新しい文書を作成し始める際には,まず最初の段落の段落揃えを「両端揃え」にセットした状態から始める事を勧める.(このようなコツは参考文献などにも,あまり詳しく書かれていない.)

インデントを調整するには,インデントさせたいパラグラフをクリックしてカーソルを置き,ウィンドウ上部の目盛り(単位はセンチメートル)の矢印マークをマウスでドラッグする.

段落先頭の行頭インデント位置を調整するには,ウィンドウ上部の目盛りにあるスライダマークをマウスでスライドさせることで調整できる.

また,行末まで文字が続くと自動的に折り返されるが,これを「ワードラップ」と呼ぶ.ワードラップ位置は,行頭インデントと同様にをスライドさせる.

さらに,連続して入力された文字が2行以上に渡る場合に2行目以降の開始位置(左インデント)は,先頭インデント位置とは別に調整される.これを調整するにはをスライドさせる.

これらの調整を上手に使うと,行頭の開始位置を下げるのでなく,飛び出させることも可能である.すなわち,

Kyoto Sangyo University, Faculty of Computer Science & Engineering, Kyoto
Sangyo University, Faculty of Computer Science & Engineering, Kyoto Sangyo University,
Faculty of Computer Science & Engineering

といった調整をすることもできる.これを「突きだしインデント」とか「逆インデント」とか「マイナスインデント」などと呼ぶ.

これらの調整を少し気にかけるだけで,作成した文書,例えばレポートなど「ぱっと見の印象が随分と変わる」事を心に留めておくと良いだろう.報告書は「まず中身が第一だが,その次に見栄え」の両方で評価されるのである.

もちろん,「見栄えだけで中身0」の報告書は与えられる評価も0であるのは言うまでもない.

練習

上の例と同じ文章を入力して,段落毎に書式を調整して同じような見栄えになるようにしてみよ(但し,文字色は黒のままで良い).尚,例文の入力は,コピー&ペーストを上手に用いると手早く簡単に出来る.また,一旦調整ができ上がった後,用紙スタイル設定を再度変更して,左右余白をそれぞれ5cmに変更し,それによってレイアウトがどのように変化するか確認せよ.

タブ設定

文字入力だけを用いた簡単な表を作成することができるが,その時に利用すると便利なのが「タブ設定」である.

TABキーを押すと,その位置に最も近い「タブストップ(tab stop)」位置に次の文字位置が移動する.標準では約2.4センチ(1インチ)単位でその位置が設定されており,その状態はルーラー(目盛り)上に表示されている.

逆T字型の記号が標準タブストップの位置である.

これを調整して希望の場所にタブストップを設定するには,マウスでルーラー上をクリックすると表示される鍵型マークをドラッグして調整する.

練習

以下のような表を追加入力せよ.但し,各項目の位置はタブ設定を用いて横幅全体に概ね均等に広がるように調整し,行頭位置はページ左端から4cmインデントさせること.

受験番号 氏名 英語 国語 数学
1 ドラえもん 78 83 53
2 のび太 67 64 37
3 静香 89 91 46

この表の場合,最初の行(項目名)は,受験番号(TAB)氏名(TAB)英語(TAB)国語(TAB)数学(Enter)とタイプした後,その行にカーソルを置いたままの状態で,タブストップをマウスポインタで調整すると能率良く調整できる.

また,上記の表がページ幅全体に広がった表に見えるようにタブストップの位置を調整してみよ.

文書の保存とLibreOfficeの終了

作成した文書は保存操作しなけれ,そのデータは失われてしまう.保存操作を行うと,その書類データは「文書ファイル」としてコンピュータのストレージ(記憶装置)に保存される.ちなみに,NetBootの場合は,その記憶装置はネットワークで接続された14号館設置のファイルサーバ装置上のディスクであり,ローカルブートの場合は,各自のMacBookの内蔵ドライブに保管される.保管された「ファイル」は,Finderウィンドウ上では「アイコン」として利用者に認識される.

作成した文書を保存するには,「ファイル」メニューから「保存」を選択する.

保存ダイアログ

保存ダイアログが表示されるので,こちらで保存先とファイル名を指示する.

保存されるフォルダを変更したいなどの場合は,「名前欄」の右横にある▼マークをクリックすると表示される次のダイアログで行ったほうが良いだろう.

このダイアログにて,「名前」欄にはファイル名をタイプ入力して,文書ファイルを保存する場所(フォルダ,或いは,ディレクトリ)を選択指示した上で保存ボタンをクリックする.

尚,このダイアログは作成した文書を初めて保存操作する時だけ表示され,既に作成済みの書類を開いて編集したものを再度保存する時には表示されないから,勘違いしないようにしよう.また,既に保存済みの文書を別の名前で保存する場合は,「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選択する.

LibreOffice Writerで作成したワープロ文書のフォーマットはOpenDocument Format (ODF文書)のテキスト形式(odt形式)となり,ファイル名の拡張子(ファイル名末尾の .odtなど)は自動的に付けられるので,自分で入力する必要はない.「ファイル名に拡張子をつける」チェックボックスを外すと拡張子をあえて付けない指定も出来るが,ファイル種別の勘違いを防ぐ為,このチェックはそのままの方が良いだろう.

ファイルのエクスポート

さらに,LibreOfficeはMS-Officeのファイル形式も取り扱える.例えば,Windowsを利用しているユーザの多くはMS-Officeを利用しており,一般的にはODF文書を渡しても開いて利用する事が出来ない事がある.文書を渡したい相手がWindowsパソコンを用いている場合,殆どはオフィスソフトとしてMS Office (Word)を使っているであろう.その場合には,MS Word形式へ保存した文書データを渡してあげると親切だろう.このように標準形式とは異なる他のソフトウェアで利用できる形式をあえて選択してで保存することをファイルのエクスポートと呼ぶ.

残念ながら,世の中で利用されているオフィスソフトウェアはMS-Officeが圧倒的であり,現時点では他の人に手渡す文書形式もMS-Office形式でなければ,受け取った人が正しく読んだり印刷したり出来ない事が多い.将来,就職活動などで文書ファイルを電子メールで送付したりする際には,文書フォーマットを良く確認して先方に最も都合の良い形式を用いるように心がけておこう.「自分が読めて利用できる文書は,相手も当然読めて利用できるはず」と思い込まない事が最も大切な事である.

尚,最新のMS OfficeだとODF文書の読み込み・保存をサポートしているので,ODF形式のままで渡してもあまり困らないかも知れない.

MS Word形式文書へのエクスポート

作成したWirter文書をMS Word形式へエクスポートするには,ファイルメニューから「名前を付けて保存」を選択する.この意味が少し解り難いが,「既に作成してある文書とは別文書として新たに保存する」という意味と思われる.

ここで表示される保存ダイアログの「ファイルの種類」から相手のWindowsパソコンに最も適した形式を選ぶ.LibreOfficeで扱えるMS-Office形式は幾つかのバージョンがあるが,2013年4月時点では「Microsoft Word 97/2000/XP/2003 (.doc)」が最もトラブルが少なくお勧めできるようだ.

保存場所や文書名を指示して保存しようとすると,ファイルフォーマットの確認を求められるので,

選択したフォーマットが間違ってない事を確認して「Microsoft Word 97/2000/XP/2003フォーマットを使用」ボタンをクリックする.

PDF形式文書へのエクスポート

また,何かの申込書など,ファイルをメールなどで送付して先方で印刷して使うことが予想される場合,PDF(Portable Document Format)形式にエクスポートすることが良くある.PDF文書に編集を加えて修正する事は一般に難しいが,印刷時にレイアウトの乱れが生じる事が極めて少ない,また,Windows, MacOS X, Linuxなど利用するプラットフォームが異なっていても表示・印刷の結果がほぼ同じになるなど,先方がどのようなOS環境か予想できない状況で用紙への印刷利用が想定される場合には適している.(尚,MacOS Xの画面表示システムの基盤はPDFに基づいている.)

PDF形式にエクスポートするには,「ファイル」メニューから「PDFとしてエクスポート」を選択し,次のダイアログから

「エクスポート」ボタンをクリックすると,やはり保存先を尋ねるダイアログが表示されるから,適切な保存場所とファイル名を指示すれば良い.尚,上記のダイアログで適切に指示するとPDF文書にパスワード保護を掛けるなどの特殊操作も出来る.

LibreOfficeの終了と作成済み文書の読み込み

LibreOfficeを終了するには,「ファイル」メニューから「終了」を選択する.文書の保存をし忘れていると

「確認」を求めるダイアログ表示が出るので,適切な選択肢のボタンをクリックして答えること.

作成済み文書の読み込み

作成しておいた文書を読み込んで開くには,「ファイル」メニューから「開く」を選択する.保存時と同じようなダイアログが表示されるので,ポインタで開きたいファイルを選択して「開く」ボタンをクリックする.

また,Finder上からはODF文書形式ファイルを表すアイコンを開けば,自動的にLibreOfficeが起動する.

この時,MS-Officeなどの他のワープロソフトの文書であっても,内部で自動変換してLibreOfficeの文書ファイルと同様に編集利用することができる.これをファイルのインポートと呼ぶ.

MS-Office形式文書の場合,完璧な変換結果は保証されないが概ね支障ないレベルで利用できるようである.その意味で,MS-Office文書を利用するために市販のMac版MS-Officeを購入する必要は無い.MS Officeの購入を考えるなら,その必要性を十分考慮した上で考えよう.(ちなみに,Mac版MS-Officeの品質に対する評判はあまり良いとは言えない.)

練習

ここまでで作成した文書を適当なファイル名(例えば trial.odt )を付けてホームフォルダに保存してから,一旦,LibreOfficeを終了せよ.次に再度LibreOfficeを起動し,保存しておいたファイルを再度読み込んでみよ.

また,再度読み込んだ文書をPDF形式にエクスポートしてみよ.エクスポートしたPDF文書のアイコンをFinderから探してダブルクリックして開いてみよ.

プリンタによる印刷

情報処理教室でのプリンタ装置の利用

情報処理教室に設置してるプリンタ装置は,レポート印刷など必要に応じて利用できる.尚,情報処理教室設置のプリンタ装置による印刷に関する詳細はコンピュータガイド,及び,情報センター提供ページを参照のこと.

過去,用紙が数百枚の単位で無駄遣いされている状況が見受けられたことがある.印刷処理は必要最小限度に留めて不要不急な印刷は控えること.また,よくあるケースとして,プリンタから印刷結果が出力されるまでに時間がかかることがあり,それを印刷に失敗したと誤解して何度も印刷コマンドを繰り返し実行してしまうというものがある.印刷する際には「本当に印刷する必要があるのか?(不要な印刷はしない)」「莫大な量の印刷にならないか?(文書によっては数百ページに達する場合もある)」「正しい操作を行おうとしているか?(失敗は紙のむだ遣い)「誤った操作を繰り返そうとしていないか?(印刷操作がうまく行かないからといって,全く同じ操作を繰り返しても,殆どの場合,やはりうまく行かない)」といった点を自問自答してみることが重要である.

ネットワーク接続の確認

情報処理教室設置のプリンタ装置はネットワーク接続プリンタなので,ネットワーク通信出来る状態でなければ正常に動作しない.プリントアウト操作するまえにSafariなどWebブラウザを起動してみてインターネット接続が正常に出来る状態となっていることを予め確認しておこう.

Mac OS Xアプリケーションからの印刷

MacOS Xの一般的なアプリケーションから印刷を実行するには,「ファイル」メニューより「プリント」を選択して表示されるダイアログボックスから利用したいプリンタををポップアップメニュー「プリンタ」から選択する.

例えば,Safariの場合では

といった具合になるだろう.プリンタを選択した後,「プリント」ボタンをクリックすれば印刷が開始される.尚,特定ページのみ印刷したいなど印刷条件をもっと細かく指定したい場合は「詳細を表示」ボタンをクリックし,そこで表示されるダイアログにて指定する.

ここで,次のような誤解に注意して欲しい.「プリンタから用紙に印刷する」ことは「プリントする」「プリントアウトする」「印刷する」と呼ぶのであって,断じて「コピーする」とは呼ばない.「コピー(copy)する」という呼び方はコンピュータの世界では,多くの場合,「ファイルの複製」を意味していることを正しく理解しよう.

この「印刷する」ことを「コピーする」と呼ぶ誤った表現が本学の一般の学生に少なからず蔓延しているようだが,少なくともコンピュータ理工学部の学生としては,正しい用語を用いるように心掛けて欲しい.また,間違って「コピーする」という表現を用いている他の学生には,その誤りを指摘して直させるように努めること.尚,プログラミング演習の講義時間に「印刷する」ことを「コピーする」などと言ったものは減点の対象とする(笑)から心しておくこと.

尚,授業時間以外の時間帯において,自習及び課題提出のためのプリントアウトに必要な用紙は各自が自分で準備することになっている.また,その用紙は「コピー用紙」又は「レーザプリンタ用紙」として販売されているものだけが認められている.また,印刷に失敗した用紙の裏側を再利用することも認められない.認められてない用紙を用いて作成されたレポートは,無条件に評価対象外(つまり0点)とするから注意せよ.また,あまりに悪質な場合には,単位認定に影響する可能性もある.

印刷に関わる基本ルールはコンピュータガイドに記載されているから,一読しておいて欲しい.

LibreOffice文書の印刷

ワープロ文書は,その歴史的成り立ちから「用紙に印刷する」ことが最終目的となることが多い.昨今では,用紙へ印刷する必然性は薄れてきているがレポート提出を始めとした印刷処理はまだ当分の間無くならないだろう.

作成した文書を印刷するには,まず「ファイル」メニューから「プリンタの設定」を選択する.まず,以下のようなダイアログが表示されるので,

ここで,印刷に利用する予定のプリンタの選択画面が表示される.ここでの「プリンタ選択」の意味であるが,印刷処理の際にはプリンタ機種が違うと,それぞれの機種毎に異なる処理の調整が必要となるために,ここでのプリンタ選択にて,その調整を行うための「機種判別」の手掛かりとして使われる.実際に印刷に使うプリンタを指定する訳ではないことに注意して欲しい.

また,印刷に際して,もっと細かい印刷設定を行う場合は,「オプション」ボタンをクリックして表示されるダイアログにて設定するが,多くの場合は,そのまま「OK」ボタンをクリックするだけで良い.

いよいよ,実際に印刷してみよう.

印刷を開始するには「ファイル」メニューより「印刷」を選択する.ここで表示されるメニューより,「実際に印刷出力に使いたいプリンタ」を選択する

このダイアログよりプリント出力先となるプリンタをメニューから選択し,プリントボタンをクリックすると印刷が開始される.

練習

ここまでで作成した文書を試しに印刷してみよう.

まず,ページの先頭に各自の「学生証番号と氏名」を入力して保存せよ.それから落ち着いて印刷を試みること.

大規模文書に対する統一的スタイル設定

ページ数の少ない簡単な文書の場合は,上記のようにad hocに(行き当たりばったりに)書式設定しても,それなりの文書は作成できる.しかし,実験レポートなど相応のページ数になる大規模文書となると,適当に思いつきで書式設定していると,例えば各節の「見出し」の書体やサイズがまちまちになったりする.そのような「統一感の無い体裁の文書」は,一般的には非常にだらしなく見えてしまう.(そのような文書は内容まで「だらしない」と誤解される危険性すらある.)

そのような大規模文書において,統一的な体裁が維持して書式設定する機能が一般にワープロソフトには装備されており,LibreOfficeにも備わっていて「スタイルと書式設定」機能と称しているようだ.例えば,そのような文書の見本が用意してあるので,

少し規模の大きいレポート文書のサンプル

各自手元にダウンロードしてLibreOfficeで開いて確認してみよう.

「スタイルと書式設定」機能を使うには,文書ウィンドウ左上のをクリックする.

このウィンドウには,今開いている文書で使用可能な各種スタイル(本文用や様々な見出し用)が一覧される.既に標準状態にて一般的文書作成に使われそうなスタイルは相当数が用意されているが,必要に応じて「自分専用の独自スタイル」も追加することも出来る.各スタイルは,それを適用したい箇所(段落)にカーソルを置いた状態で,スタイルウィンドウの当該スタイルをダブルクリックすれば適用される.

練習

第3節「実験結果」に新しい小節「3.2 補足実験の結果」という見出しを追加してみよう.スタイルは「見出し2」を用いる.

また,一度適用したスタイルを再調整することも出来る.スタイルを調整変更するには,そのスタイル項目を右クリックして「変更」を選択する.フォントサイズは「フォント」タブにて調整を行う.調整したら「適用」ボタンをクリックすると,その場で変更が反映され,「OK」ボタンをクリックすると反映した上でウィンドウを閉じる.

練習

「見出し」スタイルのフォントサイズを「ヒラギノ明朝 ProN W6フォント,9ポイント」に変更してみよう.

ちなみに,英文用フォントと日本語用フォントば個別にフォント設定するようになっているので注意が必要だろう(このあたりが「欧米か!?」と叫びたくなるようなLibreOfficeの微妙なところの一つだ.)
また,「見出し」と「見出し1」や「見出し2」や「見出し3」の関係については,見出しとなるスタイルの基本が「見出し」で設定され,それを若干補正するものとして「見出し1」が存在するといった関係になっているようだが,詳細は良く分からない.....

全ての見出しの「見栄え」が一括変更されている事が確認出来ただろうか?

これから直観的に体感出来るように,ページ数が多く,また,「見出し」など文書体裁を左右する構成要素が数多く出現する大規模文書を作成するときには,「スタイルと書式設定」機能を上手に使うと文書全体の体裁・見栄えに統一性を持たせながら調整を加えるような作業が比較的簡単に行えると思う.

使用されるフォントは,常に注意が必要だろう..LibreOfficeはWindowsやLinuxでも動作するが,これら異なるプラットフォームでは利用可能なフォントは「まちまち」であり,あるシステムで使えるフォントが別システムでは使えない事が多い.また,Mac OS Xであっても各自のシステムのバージョンの違い,或いは,個人的にフォントを追加導入などしていると,各個人環境毎に使えるフォントが異なってしまう.フォント問題は極めて奥が深い.....

Mac OS X上で動作するLibreOfficeで日本語主体の文書を使う際には,日本語用フォントとしてヒラギノフォントを指示するように配慮しておけば,概ね大丈夫だが,その文書をWindowsユーザに手渡すと「フォントが無い! レイアウトが乱れる!」という問題がどうしても起きてしまう.なかなか難しい.........

尚,上記のサンプルは「ヘッダー」,「フッター」,「タイトルページ」という機能を使っている.これらも参考にしてほしい.

実際に何かの授業科目で提出するレポートの「スタイル雛形」として,この文書を用いてもらっても構わない.もちろん,「内容」は適切に書き換えないと0点になるのは言うまでもない.

提出課題

以下のようなビジネス文書を作成し,プリントアウトして提出せよ.但し,「担当者: 総務部総務課 産大太郎」の部分は各自の学生証番号と氏名に置き換えること.また,段落書式の文字揃えやタブ設定機能を適切に用いて美しい文書レイアウトとなるよう心がけること.尚,フォント指定など細かい箇所が多少違っていても差し支えない.

提出期限: 教員の指示による

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