CSE環境上に保存されたファイルへの遠隔アクセス

学内の無線LANを利用している場合や自宅でMacBookを利用している場合,CSE環境上の(つまり,NetBootを利用している時の)自分のホームディレクトリ配下に保存されているファイル(例えば,未完成の課題のソースプログラムなど)にアクセスして,手元のパソコンに転送したい事があるだろう.長らくお待たせしてしまったが,インターネット(学生寮など学内ネットワークを含む)を介して遠隔アクセスを提供するサーバが用意できたので.その利用の仕方を説明する.

ファイル転送ツール Fetch のインストール

MacOS Xで利用できるファイル転送ツールのうち,sftpやftpsをサポートしたものとして,ここでは Fetch を用いるものとする. Fetchは米国ダートマス大学で開発され,現在はFetch Softworks社にて販売されているソフトウェアである. Fetch Software社では,教会,或いは大学など教育機関向けに非営利組織向け無償ライセンスを発行しており,以下からリンクできる ディスクイメージには,このライセンスを本学が正式に受けたものが含まれている.

従って,このディスクイメージは本学構成員(学生・教職員)しか利用できないので,ディスクイメージを学外の第三者へ複製して 再配布することは許されないから,ディスクイメージの取り扱いには注意すること.

Fetchインストール用ディスクイメージ(学内ネットワークからのみダウンロード可,Apple Silicon対応ユニバーサルバイナリ)

ディスクイメージをダウンロードして開くと,以下の画面が開かれる.

Fetch.appアイコンをアプリケーションフォルダに ドラッグ&ドロップしてインストールするが,このままでは本学向けライセンスが有効にならない.ライセンスを有効化するため, 「これを開いてセットアップ」と表示された Setup.command アイコンを開いて画面指示に従って操作しよう.

画面指示に従って Y を入力すれば本学向け無償ライセンスの有効化操作が行われ, Fetch.appを問題なく利用できる状態となった.

有効化されたライセンスが機能しているか確認しておこう.アプリケーションフォルダに 配置された Fetch.app アイコンを開いて起動すると 以下のような画面が開かれる.

画面左上メニューより Fetch -> About Fetch と辿るとライセンス状況が確認できる.

このライセンス画面上に Kyoto Sangyo University がライセンシーとして表示されていれば, 本学向けライセンスは正常に有効化されている.ライセンス画面を閉じてFetch.appの操作を続行しよう.

尚,以降の本Webページの記述はかなり旧くなってしまっているが,基本的操作については概ね通用する. Connect using欄のプロトコルとして SFTP を選択しておけばSFTPによるファイル転送が行われる.

Fetchを利用したCSE環境サーバと自分のMac間でのファイル転送

ファイル転送作業を行う前に,正しくインターネット通信が出来ている事を確認しよう.無線LANや自宅環境で使っている場合,まずブラウザが正常に動作してインターネット上のサイトにアクセス出来ていることを予め確認しておこう.

Fetchの起動

通常の場合,Fetch.appは「アプリケーション」フォルダにアイコンを入れるだけでインストールされる.このアイコンをダブルクリックして開けば問題無く起動する筈である.初めてFetchを起動した場合,次のようなダイアログが表示される.

これは「ダッシュボード」と呼ばれるMacOS Xの機能にFetchを簡単に呼び出すためのウィジェットをインストールするかどうかを確認してきている.ウイジェットはあまり沢山インストールするとMacの動作が緩慢になったりすることもあるので,ここでは"Not Now"をクリックしてインストールしないでおこう.尚,このウィジェットはFetchが起動した後からでも,インストール出来るので慌てる必要はない.

CSE環境サーバcseftpとの接続

通常,Fetchが起動すると,次のようなウィンドウが表れる.これは,インターネット上のサーバに接続する為のユーザ名やパスワードなどを入力するものである.

ここでは一旦 "Cancel"ボタンをクリックしておこう.ウィンドウが画面から消えるはずである.その状態では,どこのサーバにも接続していない状態である.

では,いよいよCSE環境のファイル転送用サーバに接続してみよう."File"メニューから"New Connection"を選択すると,新たにどこかのサーバとの接続を開始し,上記と全く同じウィンドウが表示される.

CSE環境のサーバと接続する場合,この"New Connection"ウィンドウの各項目は次のように指示しよう.

項目 指示内容
Hostname cseftp.cse.kyoto-su.ac.jp
Username 各自のユーザ名
Connect using FTP with TLS/SSL
Enable encryption チェックマークを入れる
Password CSE環境パスワード(NetBootした時にログインにつかうもの)

例えば,次のような具合に指示する.(パスワードは●記号で表示されるが,これはセキュリティを保つための正常な表示なので慌てないこと.)

Connectボタンをクリックすれば,指示した内容が正しければ,cseftp.cse.kyoto-su.ac.jpに接続されるはずである.しかし,パスワードを間違えているなど接続できない場合には,次の表示が出る.

この場合には,OKボタンをクリックして,再度UsernameやPasswordを確認してから,再度,接続してみよう.

尚,ユーザ名やパスワードなど正しいのに接続できないということが,稀に起きるようである.この場合は,一旦,New Connectionウィンドウを閉じてから,再度,FileメニューからNew Connectionを選んで開き直してから,やり直してみよう.それでも,上手くいかない場合は,一旦,Fetchを終了させてもう一度Fetchを起動し直してから操作すれば上手く動作する筈である.

接続ウィンドウ上の操作

正常にcseftp.cse.kyoto-su.ac.jpと接続すると,以下のようなウィンドウが表示されるだろう.

ファイル一覧とディレクトリの移動

通常,接続直後は,CSE環境上の各ホームディレクトリの内容が一覧表示されているはずである.これをファイルビューと呼ぶ.ウィンドウ右端のスクロールバーを操作すれば,ファイルの一覧が確認できる.ホームディレクトリにあるサブディレクトリの内容を確認する,つまり,作業ディレクトリを移動するには,以下のように該当ディレクトリを探してダブルクリックする.

この例では,C_langという名前のディレクトリへ作業ディレクトリを移動しようとしている.また,移動する直前のディレクトリへ戻るのはBackボタンをクリックすると戻る.

また,現在の作業ディレクトリの位置を確認したいとか,「上位ディレクトリ」へ移動したいなどの場合は,Pathアイコンをプレスすると次のようなポップアップメニューが表示される.

このポップアップメニューを見れば,ルートディレクトリからの位置(つまり,絶対パス)が分かり,またメニュー項目を選択すれば該当ディレクトリへ一気に移動できる.

ダウンロード操作

ネットワークを介してサーバに接続し,サーバ上に置かれたファイルを自分のパソコンに「持って来る」事をファイルの「ダウンロード 」(英語ではDownloadと書き,Down  Loadとは書かない)と呼ぶ.ファイルをダウンロードするには,ファイルビューで目的のファイルを探し,そのアイコンを自分のMacのどこかのフォルダやデスクトップへドラッグ&ドロップするのが,最も簡単である.

上の例では,dual_draw.cというC言語ソースプログラムを,自分のMacのフォルダ内へダウンロードして「持って来る」操作を行っている.

アップロード操作

ダウンロードとは逆に,手元のコンピュータからサーバへファイルを「持って行く」事をファイルの「アップロード (Upload)」と呼ぶ.アップロードするには,Fetchのファイルビューでファイルを置きたいディレクトリを表示させておき,手元のFinderウィンドウで見えている該当ファイルのアイコンを,やはりドラッグ&ドロップすれば良い.

この例では,handy.cというファイルをCSE環境へアップロードして「持って行く」操作を行っている.

ディレクトリの作成とファイルの削除

ファイルビュー上で新しいディレクトリを作成する事も出来る.ディレクトリを作成したいディレクトリのファイル一覧を表示させた状態でをクリックすると

と表示されるので,作成したいディレクトリ名を入力する.尚,様々なトラブルの元なのでディレクトリ名には日本語(漢字かな)を用いず,半角英数字のみを用いる事を強く勧める.

また,サーバ上のファイルを削除したい場合は,該当ファイルのアイコンを選択しておいてから,をクリックすると,本当に削除して良いかどうかの確認を求められる.

ここでDeleteボタンをクリックするとファイルが削除される.但し,一旦削除したファイルを復活させる方法は無いので,慎重に操作すること.

ネットワーク接続の切断とFetchの終了

ファイル転送作業が終了したら,ネットワーク接続を切断しておこう.CSE環境で用意しているファイル転送サーバは多人数の利用者が同時に利用できるほどの処理能力を有していない.用が済んだら速やかに接続を切断しておいて欲しい.切断するにはウィンドウを閉じる,すなわち,ウィンドウ左上の赤いボタンをクリックする.

接続を切断したらFetchを終了しておこう.終了するには,Fetchメニューから"Quit Fetch"を選択する.

ヒストリー機能

Fetchは,以前に接続したサーバや作業ディレクトリを記憶してくれる.これをヒストリー機能と呼ぶ.以前に接続して作業したサーバの同じディレクトリに接続したい場合は,Net Connectionウィンドウの時計アイコンをプレスすれば過去に接続したサーバの一覧が表示される.

この中から適当なアイテムを選択すると,Hostnameなど必要な項目を自動的に埋めてくれる.

ショートカット

特定のサーバの特定のディレクトリへ頻繁にアクセスする場合,そのアクセスに必要な情報を登録したショートカットを登録する事が出来る.ショートカットを登録するには,ShortcutsメニューからNew Shortcutを選択して表示されるダイアログに必要な項目を指示する.例えば,以下のように登録すれば良いだろう.

OKボタンを押すと新しいショートカットが登録される.

登録されたショートカットを利用するには,New Connectionウィンドウ上のをクリックすると,登録されているショートカットがメニュー表示されるから,これを選択すれば良い.

ショートカットを間違えて登録してしまった場合は,一旦,削除してから登録をやり直そう.ショートカットを削除するには,ShortcutsメニューからShow Shortcutsアイテムを選び,表示されたショートカット一覧から該当のショートカットをクリックして選択してからDeleteキーをタイプする.本当に削除するかどうか確認を求めるダイアログが表示されるので,そこでDeleteボタンをクリックすると削除が行われる.

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